21日に断食・断水・不眠・不臥で9日間お堂にこもる天台宗最大の難行「堂入り」を無事終えられた方、山善住院住職の釜堀浩元さんのニュースを先日、生徒たちに紹介いたしました。ちょうど、中1生は天台宗と真言宗が中間テストの範囲になっているので、興味をもって聴いていました。
なんと、この荒行、これで終わりではないようです。今回は、天台宗のこの修行をご紹介いたします。
桓武天皇の勅許を受けて、比叡山延暦寺に天台宗を開いた伝教大法師こと最澄は、818年に菩薩僧を目指す学生を養成するために「山家学生式(さんげがくしょうしき)」を著し、厳しい修行制度を定め、これに基づく回峰行、四種三昧行、籠山行などのすさまじい行が、比叡山では現在も続けられているそうです。
一般にもよく知られているのが「千日回峰行」。これは、無動寺から山上三塔、山王二一社をめぐり、一日30kmを歩き続ける修行で、七年間で満行になります。
そして、その間に、五年目の「堂入り」、六年目の「赤山苦行」、七年目には一日に84km歩く「京都切廻り」が組み込まれています。
「堂入り」
修行が700日達した後、無動寺谷明王堂にこもって
「九日間の断食・断水・不臥(横にならない)・不眠」で念誦を続ける。
満願した行者は「阿闍梨(あじゃり)」、千日回峰を達成した方は「行満大先達(ぎょうまんだいせんだち)阿闍梨」と呼ばれます。
「籠山行」
「山家学生式」には菩薩僧養成のために、学生は12年間比叡山から出ず、「止観・遮那」の両業を修行することが定められている。(学生として20歳で入山しても、業を終えるときは32歳!)
他にもまだある難行
このほかにも、常坐・常行・半行半坐・非行非坐を定めた「四種三昧行」や、
密教の阿闍梨となるために、十八道・胎蔵界・金剛界・護摩の四種類の法を修める「四度加行(しどけぎょう)」という修行もあるらしい!!
最後に
千年を超す比叡山の長い歴史の中で、「先日回峰行」を2度も達成された方がなんと3人もおられるそうです。俗世間に身を置く人間としては、本当に頭が下がります。
還学生(朝廷から砂金200両を与えられ、専属通訳と弟子の同行を認められた特別な研究員)として、遣唐使船で中国に向かった伝教大師。
「大師」とは偉大なる師という意味で、高徳の僧が朝廷から賜る称号。日本では、天皇から大師号を下賜された僧は27名いるそうです。
時は平成。子どもたちにとっては、勉強が荒行に感じるときもあるのでしょうね(笑)。
勉強を通じて、少しでも強い心を抱いていってほしいものです。