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宿題

 なぜ復習する(宿題をやる)必要があるのか。

 

人間の脳は一時的に記憶を留め、その後、重要でないと判断した情報は捨て、重要と判断したものだけを記憶に留めようとする働きがある。

 

 

 

 

時間の経過と記憶の定着率を実験、研究した人の中でドイツの心理学者「ヘルマン・エビングハウス」という人がいます。

 

今年に入って、授業で生徒に再三話した内容ですが、改めて彼の実験データをご紹介しながら、復習する意義を考えたいと思います。


エビングハウスの忘却曲線

1.忘却曲線

上は時間経過による記憶の定着率をグラフ化したものです。

この研究を行ったドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスに因んで「エビングハウスの曲線」とも言われています。

<忘却率>

20分後…42%(約4割)

1時間後…56%(約6割)

1日後…74%(約7割)

1か月後…79%(約8割)

何もしない場合、たった1日で勉強した7割は記憶から消滅してしまいます。


2.復習する時期

  経過時間に一定の割合で忘却が起こるのではありませんが、時間が経てば経つほど忘れていくのも事実です。

 勉強してからなるべく早い時点で、復習しましょう。塾で習う場合、帰りも遅いのでやれることは限られるかもしれません。その場合は、

「できなかったところ」「忘れそうなところ」「重要なところ」などに絞って当日中に復習するようにしましょう。

 

 勉強してから1日経つと、3割しか残っていません(このままほっておくと1ヶ月後には2割に・・・)。

 よって、このタイミングでしっかり復習することが重要です。翌日に実施すれば忘れてしまった7割の記憶のうち2割、すなわち1.4割が新たに記憶されます。

初めの記憶3割と合わせれば、4.4割が記憶として残ります。

そして、この記憶が繰り返し復習されることで知識として定着してきます。
できるだけ早く復習することで、負担感が減ります。

記憶が鮮明なうちに復習したほうが、忘れた知識も短い時間で呼び戻すことができます。

 

何もせず1ヶ月以上経ってしまうと、一から覚え直さなければいけないという最悪の状態となります。勉強が苦手な生徒の多くは、理解力を論じる前に、早々に根負けし、学習習慣が身についていない現状があります。

適当にちょこちょこっとやっただけの勉強法では、長期記憶化することはまずありません。

この習慣から脱却しない限り、毎回、同じことの繰り返しとなります。

〜オススメの勉強法〜

その1:1時間以内に復習

    ※時間がなければ、ポイントを絞る。

その2:翌日にじっくり復習

    ※忘れてしまったところを確認し、再度理解(暗記)しなおす。

    ※間違いやすいところに印(付箋を貼っておく)。

その3:1週間後に復習

    ※印(付箋)のあるところを中心に解き(覚え)直す。



3.最後に

 復習をする上で、なくてはならないもの、

それは

必要性を感じること

です。

 

どんなに良い方法論を説いても、受け手がそれを吸収しようと思わない限り「濡れ手に粟」です。

頭でそれが分かっているつもりでも、それが心の底から納得し、やらなければならないと感じなければ、復習し続けることはできないでしょう。

 

なぜ勉強しなければならないのか・・・。

生徒に訊かれた場合、応えはいつも決まっています。それは

「安全な社会を守り、よりよい環境を整えるため。」

 

ただし、これはあくまで教える側の話です。勉強する側が、自分に照らし合わせ納得していくほかありません。

何がなんでも、勉強する必要があるとはいいません。スポーツや芸事に長けていれば、より大きな幸福が待っているのかもしれません。

 

「なぜ勉強しなければならないのか・・・。」

それぞれがその答えを見つけて、目標を立てて一歩ずつ努力していく。

その動機が、不純か否かなどは関係ありません。

 

 

スポーツと同じで、やりはじめが最も辛い。

「やってもやってもできるようにならない。」と感じた場合、振り返ってほしい。

エビングハウスの忘却曲線で裏付けられた復習法を実践してきたかを。

 

人によって、一回目の理解に時間の差が生じるのは事実。

すぐに理解する人もいれば、なかなか理解できない人もいる。

ただし、長期記憶化される情報量は、聴いたことをすぐに理解できる人のほうが多いとは限らない。入試でよい結果を残すとは限らない。

むしろ、初回の理解に時間はかかるけれども、とことん復習してできるようにした人のほうが、入試でよい結果を出している。

本番では、この長期記憶の量と質で勝負が決まる。

 

大切なのは

「自分にあった復習量とその内容」

時間を基準とするのか、問題量とするのか、理解量とするのか…。

自分で舵が切れれば、こんなにラクなことはない。

それができないから、経験者から日々のペースメーカーとなるべき宿題が課される。

何も懲罰的なものではない。

 

 

やる意義をもってやっていけば、勉強ほど平等に結果が出るものはない。

それに比べスポーツや芸事は非情だ。

 

過ぎてしまった時間は戻らない。変えられるのは過去ではなく、未来・・・

 

迷う時間があれば、行動に起こす。

不安に思うのであれば、

「思っておしまい」ではなく

どんなことでもいいので「やれること」をやっておく。

コツコツやって、長期化された記憶はそう簡単には消えない。   


 学生の本分は学業、存在価値の多くはここにある。

 というわけで、何をやればいいか分からない人は、

 まずは出された宿題をきちんをこなしていくことから始めましょう。